流氷で有名なオホーツク海のカニ漁は毛ガニ3月~5月、ズワイ4月~10月、タラバ10月~12月にそれぞれ行われます。
1月から3月は海が凍り漁ができないため、自然が保護されます。また流氷がプランクトンを運び、餌が豊富な栄養の中で生き物
が育っていきます。この環境がおいしいカニを育む理由です。
カニは漁場や船によって品質が安定しません。
また生きたカニは船のタンク内に保管されることもあり、死んでしまうことも。そこで寄港した
漁船に乗り込み自ら品定め。
カニの状態を確かめ、目を付けた船を丸ごと
買い付けるから安定した価格と品質が可能です。そして水揚げの原則は船から保管地や加工場
まで近いこと。良質なカニも鮮度が落ちると台無しです。
水揚げされたカニはすぐさま加工場や保有地まで運ばれます。
買い付けたズワイガニの原料は、テクニシャンと呼ばれる日本人指導員が身入り、鮮度、味などを厳しく検査。合格品を製品化します。
カニはベテランの方でも見極めが難しく、製品の良し悪しにかかわる工程なので、かなり気を使う仕事です。
生の原料が向かう先のひとつは、国内にあるカニの加工場。人気商品であるカニのむき身セットの製品までの加工がここで行われます。
建物の中は温度管理がされており、カニの鮮度が落ちないように細心の注意で作業されています。
ほとんどが手作業でおこなわれており、夏場でも手がかなり冷えて大変な作業です。
かに本舗のカニの買い付け先は
漁獲時
期に一番いい場所で獲れたカニを買い付
けしています。さらに、漁船によって品
質は様々、そこで船にテクニシャンが乗
船して品質をチェックしています。そん
なテクニシャンや漁師さんをご紹介!
カニのうま味はどこから生まれるのか?
イメージとしてカニは新鮮で活きの良いものほど味も良いと考えられがちですが、実際は活きているカニの身の甘みは冷凍したカニよりも低いと言われています。カニの身の甘みは身の中に存在するうま味成分が変化していくことによって生じます。そのような変化は酵素の働きによるもので一般に「熟成が進む」と表現されています。
カニの熟成は死後直後からはじまり、その過程で成分は右記の図のように変化していきます。
イノシン酸が多くなった状態がうま味成分がもっとも多く、それ以上熟成が進むと腐敗している状態となります。またこのような熟成は冷凍状態でも進むことが実験や、検証により明らかになっています。※1
ただし新鮮な身のもつ食感など味以外の面でやはり鮮度の良さを求められていることも確かで、例えば関西風の寿司屋では締めたての歯ごたえを楽しむのに対して江戸前寿司では熟成させてうま味を出すなどの食文化の違いが存在します。鮮度の良いカニか熟成したカニ、どちらがおいしいのかは最終的には好みの差によるというのが正解かもしれません。
※1
篠野雄一、平田史生(1973)『日本水産学会誌』39巻p951〜954