【肉は薬?】日本の肉食文化について~肉食解禁は明治時代から?

■ごあいさつ
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。『スタッフぐでぐで』です。
さて、皆さまは様々なものを食べると思いますが、お肉はどのくらい
の頻度で食べていますか。

今では当たり前のようにお肉を食べている方が大多数と思われます。
しかし、時代によってはお肉を食べることができない、または大っぴら
に食べることができないのでこっそり食べていた時代があります。

今回は肉食の歴史についてご紹介いたします。
昔は食べていたけど、今は食べていない種類の肉もあります。
皆さまの雑学のネタとなれば幸いです。

 

■肉食禁止令は675年から
日本に仏教が伝来すると、教義の中で殺生を戒める内容があり、天武4年
(675年)に最初の肉食禁止令を発布しました。
そして、約1200年後の明治4年(1871年)に解禁されるまで肉食を忌避する
文化が長期間続いておりました。仏教のおかけで入浴文化は普及しましたが
肉食に関しては衰退することとなります。

最も、こっそり食べていた人達はいます。暗号文みたいな感じで鹿肉を紅葉
だったり、馬肉を桜だったり、猪肉を山鯨だったりと知恵を絞っていたよう
です。この辺りの努力?は昔も今も変わらないみたいですね。

 

■肉食を復活させた武士
武士は重たい甲冑や武器を使うので、体力が必要となります。筋力と体力を
つけるなら栄養価が高い肉は摂取することとなります。武芸を磨くついでに
狩りをするし、戦場で食料不足あれば現地調達するので民衆より肉は入手
しやすい環境でした。

農作業で使う牛や馬は食べず、基本的に狩りで獲得した肉を食べています。
ただ家畜は食べないとは言っても、非常時(飢饉)は例外だったようです。

 

■宣教師の記録
16世紀に来日した宣教師たちの記録では「日本人は肉を食べない。罪悪視
している」と本国へ報告しますが、長く滞在すると本音が見えてくるように
なって日本人は野犬、鶴、大猿、猫、生の海草を好む。牛肉は食べない
が好む」(1585年、ルイス・フロイスの報告より)と記録が残っています。

「食べないが好む」とありますが、実際には食べていると認識されていた
ようです。但し、建前では肉食禁止のため、時の権力者は宣教師へ牛馬を
食べたら厳罰に処すと通告していたようです。

 

■江戸時代でなし崩し的に肉食の時代が来る
彦根藩が考案した牛肉の味噌漬けは様々な要人の心を虜にしたようです。
特に水戸藩9代藩主の徳川斉昭は肉が好物で、毎年楽しみにしていたよう
ですが、嘉永3年(1850年)に井伊直弼が彦根藩の家督を相続してから
この牛肉の贈らなくなりました。そしたら、彦根藩へ牛肉を贈るよう
何度も書状を送ったようです。結局、贈ってくれませんでしたが。

肉食を堂々と行うわけにいきませんので、養生用の薬として食べる
ことになります。「肉を食べたのではなく薬を服用した」という
理屈?でまかり通っていたわけです。

ちなみに徳川斉昭の七男(徳川慶喜)も肉が大好きです。
徳川最後の将軍として名を知っている方も多いですが、実は豚肉が好物
で「豚肉」が好きな「一橋家」出身だから「豚一様」とひそかに呼ばれ
ていたようです。

その他、長崎の出島は日本であっても、堂々と肉料理を食べていました。
オランダの人々は肉を日常的に食べるので、当然といえば当然です。

 

■今の価値観では抵抗ある犬食、猫食の文化
沖縄では近年に入るまで犬食、猫食の文化が残っておりました。
また、日本では戦国時代まで一般的だった犬食文化が江戸時代で姿を
消しております。この辺りは徳川5代将軍である徳川綱吉の功績が大きい
でしょう。

徳川綱吉といえば「生類憐みの令」を出したことで有名です。
創作の忠臣蔵や水戸黄門で登場しますが、あまり良い立ち位置ではないので
その点もあって評価がイマイチなのかもしれません。

文治政治への切替を推進して、江戸から辻斬りを大幅に減らして治安の改善
を図り、民衆にみだりに命を奪うことは大罪であると浸透させて民度(道徳
や倫理)の向上に努めました。

 

■明治時代でようやく肉食解禁
日本人の体格向上の他に、欧米との外交折衝において、公式の会食で出てくる
西洋料理を食べるためにも避けて通れない選択でした。
明治天皇が肉を食すころには民衆の中で肉食に関する禁忌が次第に弱まるよう
になって、政府は肉食を定着させるための啓蒙活動を地道に続けていきました。

血抜きの技術が向上して、煮炊きしても異臭がなくなった頃(昭和の時代)に
は民衆に普及していき、よく食べられる料理の1つになっていきました。

また、焼肉の普及は戦後(1945年)以降からと歴史は意外と浅いようです。

 

■食べすぎ注意
肉はたんぱく源を摂取できますが、食べすぎは健康に悪影響を及ぼします。
野菜を含め、様々な食事をバランスよく摂取して栄養をとりましょう。

つまりは適度な量と質を意識して摂取すれば、メリットの恩恵を享受できます。
足りない栄養素は別の食料でカバーし、過剰に栄養素をとっているものは自重
するようにしましょう。

 

 

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