【モバイル】~通信は事実上の第4のインフラサービスです~【LTE】

■はじめに
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。『スタッフぐでぐで』です。
今回は2022年7月上旬に大きなニュースとなった『ある出来事』について取り上げてみます。

2022年の7月2日(土)01:35~7月4日(月)15:00(61時間25分)
にわたり発生したKDDI株式会社の大規模通信障害の総括ともいうべき記者会見が
7月29日15時30分に開かれました。
社内でモバイル機器の調達を担当していることと、『スタッフぐでぐで』個人としても
関心ありましたので、約2時間の会見(録画)を見て思うところを述べてみたいと思います。

 

■障害内容の説明と再発防止策について
【何が原因で本障害は発生したのか】
機器メンテナンスの際に経路を誤って設定したことで通信断が発生。切り戻しを行うも
ユーザーが通信する際に発信端末から送られる「位置登録」がルーターに足止めされてしまい
音声通信に使うネットワーク機器「VoLTE交換機」まで正常に届かない状態になった。
そのため、位置登録要求信号が大量発生してVoLTE交換機と加入者DBが輻輳(物が1か所に集中し混雑する)
状態になった。

【機器メンテナンスで何をしたのか】
マニュアルに沿って作業していた。作業難易度も高くはなかったが、設定にミスが発生したのは
参照するマニュアルのバージョンが古いためだった。

【どうして長期化してしまったのか】
複雑な輻輳状態(複数の輻輳状態)を解消する対応ノウハウが確立されておらず、試行錯誤
しながら解決に向けて対処していたが、原因の特定に時間がかかったため。

【再発防止策はどんなものか】
概要としては作業手順の見直し、輻輳状態を早期に検知する仕組みを構築、輻輳状態時の復旧手法見直し。
顧客目線の情報開示、適切な情報提供の拡充等。

【複雑な輻輳状態とは】
多摩のネットワークセンターにあるルーターが異常になり、そこから端末⇒VoLTE交換機、VoLTE交換機⇒加入者DBの
2ヶ所で輻輳が発生。さらに全国のVoLTE交換機へ負荷が波及していきここでも輻輳が発生する。
さらに一部のVoLTE機器で異常が発生し加入者DBへ高負荷が継続していた。

【ぐでぐでの私見】
一定の規模以上の輻輳状態になったことがポイントかなと思います。原因特定に時間がかかったのも致命的。
基本的に通信事業者は輻輳を避けるような仕組みを構築していますが、それは一定の規模を超えて
輻輳状態になると短期間で対処できなくなることを理解しているためです。
ただの輻輳状態ではなく、『複雑な輻輳状態』ということも対応ノウハウが確立されておらず事象解消が
長期化した理由かと思いました。発生日が平日の月末とかなら、もっと影響が大きかったかもしれませんね。

 

 

■顧客への返金処理
【(返金総額は約75億円)過去最高額となる。法人向け(約款契約)の返金額も含む】
1.約款に基づく返金【対象顧客271万人 (KDDI)、7万人 (沖縄セルラー)】
・契約料金プランの基本使用料等の2日分相当額を請求額から減算
・対象は音声通信サービスのみを契約の方(インターネット接続契約なしの方)

2.お詫び返金(約款に基づかない返金)【対象顧客3,589万人 (KDDI)、66万人(沖縄セルラー)】
・請求額から200円 (税抜) の減算
※povo2.0は基本使用料が0円であることから、返金に替えてデータトッピング (1GB/3日間) を進呈

お詫び返金の算出根拠は約款に基づく日割り返金額(平均で52円)の3日分に
プラスアルファして200円とした。(52×3)+44=200

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※ここ重要です※
返金に関して送信するSMS本文にはリンクURLを記載せず、情報の入力を求める記載はしない。
お知らせを装った偽メール・偽SMSに注意してください。
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【ぐでぐでの私見2】
返金額については約款以上に踏み込んで対応してくれていますが、納得できない方もいるでしょう。納得
できない場合は個人で訴訟という手続きもできますが、機会損失など遺失利益は求める側が明確な因果性を
証明しないといけないので個人、法人問わず約款契約の方はこの返金があるだけでもマシとなります。

『約款契約』で業務用途にて使っていた人が一番割に合わないと感じます。個人事業主の方は影響大きかった
でしょう。法人向け『相対契約』については障害時の特約内容次第となります。

 

 

■質疑応答で気になった内容
今回の通信障害は本来防ぐことができたし、防がなければいけなかった。ルーターの設定ミスが原因だが
厳密には作業マニュアルの取り違えによる指示ミスだった。作業者は指示通り作業した。
確認プロセスをもう1段階いれていれば防げる障害だった。

返金総額は約75億円で経営努力で吸収する。現時点でユーザーの利用料へ転嫁する考えはない。
再発防止のための設備投資と法人向けの個別対応でさらなる費用出費が発生するがこの額は未定。
ユーザーの信頼は失った。今回の障害での解約件数はそれほど大きくないが新規契約に影響が出ている。
法人向けの損害賠償については各社とこれから協議する。

顧客目線の情報展開に課題があったので、障害内容に応じた情報展開方法を見直したい。
7月3日の会見で2倍以上のトラヒックが確認できていると伝えたが、約7倍のトラヒックを確認できた。
これは災害時のトラヒック(通信制限をかけて平時の2倍程度に抑えている)を大きく上回る。

障害時のローミング対応(緊急通報だけでも)についても前向きに検討したい。

今回はデータ通信で障害は発生していないが、androidでデータ通信できず、iOSでデータ通信できた件に
ついてはOSやメーカーの仕様の影響と考える。

【ぐでぐでの私見3】
質問には丁寧に答えており、はぐらかすようなことをせず誠実に対応していると感じました。
今回の障害はいわゆる凡ミスから始まり、それがここまで大きな事態になったのはKDDI側でも悔やまれる
でしょう。

法人向けで『相対契約』を交わしている会社との協議がどのような形で纏まるのか、それに伴い損害賠償
の額がどの程度増えるのか。この部分は決算資料で読み解く形になるのかな。
現状の返金総額75億円からどの程度増えるのか。年間6000億円程度の設備投資を行う現状が追加費用を含め
どの程度増えるのか。今年度中にはおおよその追加金額が判明すると思います。

障害情報の告知方法についてはネット以外にラジオやテレビや新聞などの媒体を用いることを言及して
いました。ネットに掲示してもネットへアクセスできない人からすれば意味を為さないわけですから。
トラヒックが平時の7倍近くというのは個人的には一番驚きました。通信制限をかけていなければもっと
被害が大きくなっていたことでしょう。

事業者間ローミングについてはやるとしても緊急通報だけとなりますが、私は反対だったりします。
ローミングすることでさらなる被害(連鎖的に通信障害)が発生することが危惧されます。
連鎖的な通信障害が発生しない仕組みを前提に検討するならアリです。それ以外にもコスト面、周波数の対応
問題もあるので仮に実現するとしても、まだまだ先の話なのでそれならば、別回線(サブ回線)を契約する方
が直近の対策としては無難と感じます。

OSやメーカーの仕様で通信が使える件についてはiOS(iPhone)は、音声が通らない場合でもデータ通信が
保持され、アンテナピクトが立っていない状態でもデータ通信が使える、Androidは機種によっては音声がNG
だとデータ通信もNGとする仕様になっていたり、iOS(iPhone)同様にデータ通信だけ使えるものが混在して
いたことの話だと思います。
現状は仮説の域を出ませんが、モデムがアプリケーションプロセッサと別だったら障害時でも通信できる
との説が有力です。このあたりの詳細をKDDI(通信事業者)で説明するのはいささか酷な話となります。

 

■おわりに
通信というカテゴリは電気、ガス、水道につづく重要なインフラであると改めて実感いたしました。
知り合いの中には現金を持っておらず、クレジットカードや電子決済に頼るようにしていましたが、今回の
通信障害で裏目に出てしまったようで、一定の現金は持っておく方がよいと考えを改めたみたいです。

プライベート及び業務でモバイル通信を使用する方がもし、2回線保持するなら各々を異なる通信事業者で
契約するようおススメします。片方でトラブルがあったときにも対応できるようになるためです。
事業者間ローミングの実現は課題も多く、仮にローミングできるようになっても緊急通報など一部の範囲に
限られると考えますので、ユーザー側で自衛できる仕組みを作る方が早道でしょう。

 

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■おまけに

たまに旅人やっております。こちらのお写真は兵庫県

神戸ハーバーランド(こうべはーばーらんど)を訪ねた時のものです。

昨年の写真ですが、絶好の夜景スポットとしてお勧めいたします。

また、クルージングディナーとしゃれ込むのも一興かもしれません。

昼夜どちらでも楽しめるので、旅行スケジュールの隙間があれば

是非とも立ち寄ってください。

 

 

 

今回の記事を担当したのは↓

スタッフぐでぐで

匠本舗 CS商品部

ぐでたまを愛でる社会に疲れた生き物です。
ときどき、なが~い休みをとって
人のいない静かなところに旅立ちます。