お雑煮の歴史~思った以上に地域で特性あり~

■はじめに
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。最近、記事のペースがあっぷしている
「スタッフぐでぐで」でございます。
書けるうちに書くとの考えでネタをお披露目いたします。

今回のお題は「お雑煮」となります。おせち同様に元日に大多数の人が食べる料理ではないでしょうか?
ある制度を調べていくとおまけ(副産物)としてお雑煮の歴史や文化を知ることが
できたので皆さまへご紹介したいと考えます。

 

■お雑煮とは
お雑煮の歴史はそれなりに古いものの、起源については実はハッキリとしていません。
室町時代には現在のような形で存在しておりました。
当時は武士など限られた層の宴会で一番初めに酒の肴(さかな)として振舞われ、宴の
一番最初に食べる縁起のよい料理として認識されていたようです。

お雑煮が幅広い層に正月の祝い事に食べられるようになったのは江戸時代からと伝えられています。
これは江戸時代にできた「ある制度」がきっかけと伝えられております。

 

■雑な分布図でご容赦ください
厳密には違う部分もありますが、大枠の説明ということでご容赦ください。

味付けについては大部分が「すまし汁文化圏」となります。
近畿及び四国の一部については「味噌」文化圏がございます。
味噌の中でも大部分が白味噌で、『赤味噌【福井県、京都府(日本海側)】』がさらに分類されます。
他にも『あずき【鳥取県、島根県(出雲より東側)】』などもあります。

お餅については西日本の多くが丸餅で東日本の多くが角餅(切り餅)となります。
具材については地域によって様々となります。

 

■沖縄と北海道のお雑煮事情
沖縄では一般的に元日にお雑煮を食べる習慣はありません。これは沖縄がかつて琉球王国
という日本とは別の国として存在しており、食文化が異なっていたためです。

その代わりに、宮廷料理として振る舞われていた「中身汁(なかみじる)」というお吸物が
お正月だけに留まらず、様々な祝いの席に登場します。
私も幼少の頃はよくわからず食べておりました。

北海道ではお雑煮が食文化として伝わったのは明治時代以降になります。もともと北海道は
アイヌの人々が暮らしており、食文化が大きく異なっていました。明治以後に開拓のため、
本州から移り住んだ人々が持ち込んだものとなります。

そのため、北海道のお雑煮は、先祖の故郷の味付けが引き継がれているので、各家庭によって
味付けや作り方がバラバラとなります。

 

■参勤交代で江戸のお雑煮が全国へ
江戸時代になってからも、雑煮は武家にとって縁起物の料理として受け継がれておりました。
時代が進み技術が進歩すると味付けが味噌から醤油に変わります。

江戸での生産が盛んとなった、元禄年間(17世紀末~18世紀前半)の頃には味噌より醤油の方が
味付けとしては主流となっていたようです。そして餅の形が角餅になったのもこの時期と伝えられています。

この時代は【参勤交代】という制度があり、一定の周期で全国から江戸へ集まり、国元へ戻るという移動サイクルが
ありました。参勤交代によって様々な江戸文化が全国へ広がりましたが、食文化(お雑煮)も全国へ伝播していきました。

各地で元々あった味付けが江戸仕様に上書きされた感じですね。
ただし、全てが上書きされたわけではなく、一部地域は従来からの味付けが残り、それが今に伝わる形となります。
例えば、江戸幕府の直轄領で大名がおらず、参勤交代もしない京都や大阪など。

当時の近畿及び四国(香川県、徳島県)の各文化は京都の影響を受けるため、その名残でそれらの地域は
今も味噌文化圏となります。

 

■江戸と京都どちらの影響力が強いのか
東日本の多くがすまし汁、角餅が普及していることから京都より江戸の影響力が強いと読み取れます。

西日本は京都に近いエリアほど京都の影響力が強く、離れていくと江戸の影響力が強いと読み取れます。
これは近畿及び四国(香川県、徳島県)は味噌、丸餅が普及して、その他の西日本ですまし汁、丸餅が
普及していることからそう考えます。

まぁ、何事にも例外はあります。鳥取県、島根県(出雲より東側)はあずき、丸餅の組み合わせだったりするので。
味付けを上書きされる地域はあれど、餅の形は変わらずということで文化や歴史の不思議なところです。

 

■海路で伝わるものもあります
東日本でも山形県や岩手県の一部では丸餅を使う風習があります。日本海側のこの地域は、北前船で栄えた港町
であったため江戸時代には西回り航路のルートで、京都や大阪から様々な文化が伝わることもあり、東日本の
なかでも丸餅が根付いたレアなケースとなります。

西日本でも高知県や鹿児島県の一部の地域では角餅が使われます。これは陸路ではなく
海路を通じて江戸文化が伝わるためです。

 

■おわりに
味付け、形だけでもそれなりのバリエーションがありますが、調理方法も実に多彩です。
餅を焼くor煮るの他、山の幸や海の幸などをどのように組み合わせるか。
いろんな調理方法が浮かんでくるでしょう。

皆さまが食べているお雑煮は実にたくさんの種類がございます。機会あれば他地域のお雑煮
にも触れていただき、文化と歴史をより親しんでいただければ幸いにございます。

ふとしたきっかけで参勤交代を調べて、お雑煮の話に繋がったのは自身でも驚いています。
意外なものが繋がっていくのを知ることが楽しく感じます。

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■おまけに

たまに旅人やっております。こちらのお写真は山口県

元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)を訪ねた時のものです。

2年前とやや昔の写真ですが、海を背に連なる鳥居と草木がなんとも

絶妙な色バランスです。 鳥居の『赤』、日本海の『青』、周囲の草木の『緑』

が見事にマッチしております。ここへのアクセスは大変ですが、苦労するだけの

価値はあると確信いたします。

 

今回の記事を担当したのは↓

スタッフぐでぐで

匠本舗 CS商品部

ぐでたまを愛でる社会に疲れた生き物です。
ときどき、なが~い休みをとって
人のいない静かなところに旅立ちます。