■ごあいさつ
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。『ただ』のぐでぐでです。
今回は「河豚(フグ)」をテーマに記事を書いてみたいと思います。
昔は文字通り命がけで食べるため、「河豚は食いたし命は惜しし」という
言葉が後世に残っています。リスクとリターンに揺れる心理を表す言葉で
転じて今では、魅力的なチャンスに対する怖さを表現する際に使われます。
河豚は人類(特に日本人)の食に対する探求心を語るうえで、欠かすことの
できない逸話を持っています。危険だと分かっていても食べたいという情熱
が、毒を取り除く高度な調理技術を発展させて、世界でも類を見ない日本の
洗練された食文化を形成したといえます。
それでは、河豚にまつわるエピソードを纏めてみましたので、本記事に
お付き合いください。よろしくお願いいたします。
■河豚とは
約120種類の魚がフグ科に分類されます。特に食用としてはトラフグ、マフグなど
が有名です。なお、食用可能な部位は種類や漁獲場所によって異なるため、心得
のない素人による取扱いや調理は大変危険です。
意識の高まりもあって、年々食中毒による患者数及び死者数は減少傾向なれど
事件発生の大部分は家庭料理で発生していることが特筆されます。
河豚を語るならフグ毒であるテトロドトキシンについて説明を避けることはでき
ません。人間の致死量は0.5~2mgと言われています。(青酸カリの約1,000倍)
■猛毒持ちなのに命を賭けてでも食べていた
古来(縄文時代)から河豚を食べていました。これは各地の貝塚から河豚の骨や
歯が出土していることから裏付けが取れます。当時は科学的に分析できないため
実際に食べて食用とできるのかを命を懸けて試すこととなります。河豚に限らず
「食べられるか、食べられないか」を試行錯誤することは日常そのもので、経験
をもとに食文化を形成していきました。
■豊臣秀吉が禁止して
豊臣秀吉の治世にフグ毒による中毒死が続出したこともあって「フグ食禁止令」
が出されました。文禄・慶長の役の際に多くの武士が朝鮮半島に近い九州に集結
しましたが、そこで獲れた河豚を普通の魚のように調理して食べてしまったこと
が切っ掛けとなったようです。
徳川の世となった江戸時代でも禁止令は継続して、各藩で取り締まりが行われて
いました。藩によってはフグ食が発覚すると家禄没収や家名断絶など厳罰に処す
るところもあったくらいです。
江戸時代は長く続いたこともあり、日本の食文化が大いに発達した時代でもあり
ます。お上が禁止しても庶民の間に密かに「てっぽう」という隠語で呼ばれ食べ
続けられていました。河豚も鉄砲も「めったに当たることはないが、当たると命
を落とす」という共通点からこの呼び名になったようです。
大阪を中心とする関西では今でも「てっぽう」と呼ばれます。フグの刺身を「て
っさ(てっぽうの刺身)」、フグ鍋を「てっちり(てっぽうのちり鍋)」といい
ます。
■伊藤博文が解禁する
明治20年(1887年)伊藤博文(初代内閣総理大臣)が下関を訪問して春帆楼に
宿泊した折、時化のため魚が獲れなかったので、打ち首覚悟で禁制だった河豚を
提供したところ「一身よく百味の相をととのえ」と感嘆し明治21年(1888年)に
伊藤博文から山口県令(知事)に命じてフグ食解禁を働きかけ、下関では公式に
堂々と河豚が食べられるようになりました。(山口県内に限ってフグ食を解禁)
ちなみに、下関では解禁前から庶民の間でフグ食が盛んでしたが、違警罪の制定
明治15年(1882年)で美味しさを楽しむことが困難となっていました。
上記の歴史的背景と地理的な好条件もあって下関は河豚が集まる街として名を
知られるようになりました。
現在では、天然物と養殖物のどちらを取っても、河豚の水揚げ量の上位3位に
山口県は入りませんが、フグ専門卸売市場である南風泊(はえどまり)市場の
存在が河豚を語るうえで下関を除外できません。
南風泊市場は唐戸魚市場より分離した、日本で唯一のフグ専門の市場です。
玄界灘、瀬戸内海、日本海に囲まれた好漁場に近く、長年培われた毒を取り除く
高度な加工技術を持つ業者が充実しています。
戦後の昭和22年(1947年)の食品衛生法に基づきフグ食についても厳禁の方針
から、適切な処理を前提とした許可制に切り替えました。各都道府県でフグ食
に関する条例制定の基礎となる部分が作られました。
■河豚の卵巣の糠漬け
食品衛生法で食用が原則として禁止している河豚の卵巣を、特殊な製造方法で
食べられるようにしているものとして「河豚の卵巣の糠漬け」があります。
石川県の一部の地域で今に伝わる伝統的な製造方法です。
肝同様に卵巣にはテトロドトキシンという毒素が多く含まれるので、食用に回す
ことはできません。しかし卵巣を3年以上塩と糠に漬けることで、食用に支障出
ない範囲まで毒素を消失させることができます。
どのようなプロセスを経て、除毒されて食用に支障出ないようになるのかは、今
も原理が不明だったりします。現代の科学水準でも解明できないのは、何とも
神秘的な気がします。
■食に対する尋常ならざる熱意
「【河豚】猛毒持ちなのに知恵の限りを尽くして食べられ続ける【フグ】」に
ついていかがでしょうか。ずっとこのテーマで記事を書こうと思っていた
ものの、長らく先延ばしとしていました。
現代では意識の高まりもあってフグ毒で命を落とす方は極めて少なくなって
います。昭和の時代は30年代で100名前後、40年代で22名~88名が中毒死して
います。40年代後半は40名以下と少なくなり、人間国宝であった歌舞伎役者が
毒性の高い河豚の肝を食べて中毒死する事件があった50年代以降は急速に件数
が減り56年を最後に件数は10件以下になっています。
令和3年(2021年)の食品衛生法の改正に伴い、フグ処理資格認定基準を統一
して統一基準で認定試験を行うようにされました。
各自治体でバラバラだった試験内容や合格基準を合わせることで、同水準の
品質を担保して、全国どこでもフグ処理が安全に行えるようになります。
医療水準の低い過去の時代では、実際に食べた経験で可食部分を判断して
いきます。当時の価値観としては、不正確な情報があっても餓死するリスクが
あるなら生き残る可能性に賭けて、食べるという風潮がある以外に現代ほど
命の価値を重視しないこともありました。そしてその数が増えてくれば禁止令
を出して歯止めをかけるのも道理といえます。
河豚は生まれた時点で毒を持っておらず、餌として捕食したものの毒素を元に
テトロドトキシンを作ります。そのため、毒素の無い人工餌で養殖すると毒を
持たないことが実験で明らかになっています。ただし、河豚にとって毒が無い
と精神的に不安定になり攻撃的になって共食いするようです。
人類から見るとテトロドトキシンは食べるうえで邪魔になりますが、河豚から
すれば自身を守る大事な手段になります。
河豚に人権はありませんが、「魚権」というものがあるとしたら、人類は河豚
に対して酷いことをしていることになりますね。
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